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2030-10-10 Thu 22:53
このブログはピンナップ☆ベイビー別館、管理人哲乃のオリジナル小説部屋です。
こちらは基本放置気味のため、ご意見ご感想がある方は本館のコメント欄までお願いいたします。
拍手コメントをしてくださった方には直接お返事に伺います^^

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ピンナップ☆ベイビー
イラスト描いたり漫画やアニメについて語ったり、管理人の日常だったりカオスなブログです。
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小説目次

『下校時刻は守りましょう』

僕の夏休み  2 3 4
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僕の夏休み 4
2010-08-11 Wed 02:18
何でこんなことになってしまったのだろう。


白川駅には9時半前に到着した。
言いだしっぺの私が遅刻をするわけにはいけない、というのも理由の一つではあるが、しばらく感じたことの無い高揚感に、家にいてもなんだかそわそわと落ち着かなかったのだ。
なんだっけこれ?遠い昔に感じたことがあるような懐かしい感覚。

約束の10時まで少々時間があるので、私は駅周辺を探索することにした。
白川はごくごく普通の街だ。
畑と田んぼに囲まれたド田舎でもなく、かといって大きなデパートがあるような都会でもない。
生活に困らないレベルの大型スーパーぐらいならある、私の地元とは大違いの住みやすそうな街だ。
私の地元の話は今はひとまず忘れておこう。
駅周辺はわりと賑やかだ。
駅前の商店街には様々な店がひしめき合い、白川高生たちの寄り道の定番スポットになっていた。
・・・実際に私はまだ一度も行ったことが無いけれど。
夏休み1日目の午前中、街中に当然のことながら白川高生の姿は見えない。
たとえ部活か何かで数人の生徒が通りかかったとしても、私服姿の私が目立つことはない。
思う存分一人では、一人だからこそ行けなかった商店街を探索しよう。
スタートラインのマックを確認。今日の集合場所だ。
続いて進むとクレープ屋にゲームセンター、ファミレスにカラオケ店などがあり、まるで我が校の生徒のためにラインナップされたかのように寄り道のネタが充実している。
駅から遠くなるにつれて、食品スーパーや雑貨店など、地元住民のためのお店が増えてくる。
しかし時間的に開店前の店が半数以上のため、さしあたって入る店もなく10分程度で最終地点のコンビニに到達した。
「仕方ない、戻るか」
Uターンをして、今来た道を逆再生。
アスファルトが時間とともに熱を帯びてくる。太陽もだいぶ高く昇り始めた。今日も暑くなりそうだ。
よく見るとこの商店街はやけに美容院が多い。
この街の人は髪が伸びるのが早いのかもしれない、と温まった頭でぼんやり考える。
と、その時、視界の隅に光るものを確認した。
美容院と居酒屋の間の路地でそれは光った。
太陽の光で反射したのか、もしくは「ソレ」自体が発光しているのか。
見て見ぬふりを出来る形ではなかった。

人だ。・・・女の子だ。

その少女は居酒屋の裏手のゴミ捨て場、大きなポリバケツの陰に身体を隠し、路地に頭を投げ出す形で仰向けに倒れていた。
光って見えたのは人形のような長い琥珀色の髪の毛だった。
慌てて駆け寄り顔を覗き込み、私は息をのんだ。
年齢は私と同じぐらいだろうか。
かたく閉じられた漆黒の長いまつげ、陶器のように白く美しい肌、人工的な艶感の桜色の唇。
パーティーで着るようなピンク色のドレスを着たその美少女は、昔絵本で見たお姫様そのものだった。
「人形・・・?」
・・・なわけがない。
見たところ怪我もなく、息もしているがこの場合どうしたらいいのだろう。
「大丈夫ですか?」
耳元で呼ぶも反応なし。
「起きてくださーい!」
身体を揺すって耳元で叫ぶ。
すると
「うーん。眠い・・・」
むにゃむにゃと何か言いながら、少女は実にウザったそうに眉間に皺を寄せて私から顔を背けた。
眠っているだけだな。
安心して一息つくと、視線の先に彼女の物と思われるミュールが転がっていた。
常識的にヒールは当てないでおこう。
「起きろ!!」
パコッ!!
小気味よく衝撃音が響く。
「痛っ!!え?・・・何??」
少女は驚いて額を抑えて身体を起こした。
そして私と目を合わせて、約3秒のフリーズの後こう言った。
「・・・ここはどこ」

こんなことなら交番の場所を確認しておけばよかった。






暑い。背中が暑い。
私は今、姫君を背中に背負って全速力で商店街を駆け抜けている。
体力には自信があるが、二人分の体重を乗せた夏場の全力疾走はかなりのパワーを使う。
異様な光景だろう。姫コスプレの女を背負う汗だくの女。仮装パーティーと借り物競走を混ぜたような姿に、すれ違う皆さんからの注目度は絶大だ。
ゴミ捨て場を後にする際に姫君の小さなビーズのバッグは見つかったが、私が拝借した相方、ミュールの片一方がどうしても見つからなかった。
腕時計を見ると約束の時間ギリギリだった。
先を急ぎたかった私は自ら姫君の馬車役志願をし、こうして私の背中の上に乗せる運びとなった。
「携帯番号聞いとけばよかったな」
「誰のー?ってゆか何でいきなり走り出したー?」
「約束してるの」
息を切らせて答える。
「友達とー?」
呑気なお姫様は頭の上から微妙な質問をしてくる。
「さぁね。でもあなたのことも聞きたいし」
眠り姫は目覚めて第2声目に「おなかがすいた」と言ったきり、自分に関するデータを一向に喋らない。
二つ三つ質問をしたが、曖昧にかわされてしまった。
「警察はいや」と言っていたが満腹になったら気が変わるだろうか?
そのためにもまずはあの二人に警察の場所を聞こう。
その前に二人はちゃんと来てくれるのだろうか?

不安と期待と疲労感でいっぱいになりながら、私は目的地を一直線に目指した。
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僕の夏休み 3
2010-07-11 Sun 18:34
靴を履き替え校舎の外にでると容赦なく夏の太陽が照りつけた。
変人優等生と不良娘は職員室を出てからここまで終始無言のままだ。
どちらかといえば面識のあるユッキーに何度かアイコンタクトを試みたがことごとく失敗した。
人見知りでもしているのだろうか。
『ユッキー』なんて親しげに呼んではいるものの実際必要以上に会話したことないもんなぁ。俺達。
成績は常にワースト3でいかに楽をしようかと常に思案している俺と、真面目で頼れる生徒会長は別の次元の人間だと思っていたもんな。
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、自然と友人の種類も違ってくる。
でも教室内のユッキーはもっと社交的だったはずなんだけど・・。
俺だって内心異色の取り合わせに戸惑ってはいる。
ユッキーと藤野と仲良く自由研究なんてしている光景は想像し難い。
でも何もしないでここで解散するわけにはいかないのだ。
アレ?俺ってけっこうマジメ?
「自由研究どーしよっか?」
歩きながら勤めて明るく二人に言葉を投げかける。
「そのことだが・・・」
ユッキーがボソッとつぶやき、俺と藤野を交互に見る。
「俺がやっておくから二人はレポートを写せばいい。もちろん3人でやったことにする」
なんということだ。あっさり解決。神様降臨!
「マジで?いいの?さっすがユッキー!!頼りになるよ!」
俺と藤野が頼りにならないと切り捨てられた感も否めないが、そこは心にしまってお言葉に甘えることにした。
意思の疎通すらできそうもない3人で一丸となって自由研究をするのはかなり難しそうだったからだ。
コミュニケーションをとるだけでひと夏が終わってしまう。
もしかしたらユッキーも同じ考えなのかもしれない。
あえて苦労を買って出るとはさすが生徒会長だ。
秀才生徒会長には自由研究なんて大した苦労ではないのかもしれないけど。
「じゃあユッキー任せたよ!お礼はするからさ」
「気にするな」
「じゃあとりあえずメアドと携帯番号交換しよう」
「そうだな」
赤外線通信でお互いのデータを交換する。
ユッキーの携帯にはアニメのマスコットのストラップが親の敵のように大量についていたがあえて無視した。
「はい、藤野さんも」
「・・・・・だめだ。」
まさかの御断り。
「え?でもレポート写す日連絡しないといけないし」
「だめ!」
おいおいおいおい。もしかして何か嫌われてる?
それか束縛の激しいイカツイ彼氏がいるとか・・他の男のアドレスを見たら携帯を真っ二つにするような嫉妬深い彼氏が。
藤野ならありそうだな。
「携帯がダメなら家の電話とか・・・よし!住所でいい。手紙で知らせよう。そして読んだらバレないうちに即刻燃やしてくれ。」
「?・・・そうじゃなくって・・・・・3人でやらなきゃだめだ!!」
「あぁ・・・」
俺は意外な意見と大声量に面食らって間の抜けた返事しかできなかった。
藤野の一喝で緩んだ夏の空気が引き締まったような気がした。
以下藤野の演説。
「同級生が先輩になって下級生に囲まれて、留年して肩身の狭い思いをする一年間の苦しみを相田君に助けてもらうんだよ?私はとてもじゃないけどその分のお礼なんてできない!一生かかっても返せないよ!それに先生は3人で頑張りなさいと言った!それに・・・嘘や不正は大っきらいだ!!!」
真っ当で実直な藤野の意見に圧されて俺は口ごもってしまった。
コンマ2秒で丸投げした自分が恥ずかしい。
「別に気にすることはないぞ。生徒会長として我が校の生徒が平穏な学校生活を送る手助けをするのは当然だ。夏休み中も是然り。それに夏休みは俺は忙しい。3人で予定を合わせてのんびり勉強会をしている暇はない。これは俺のわがままだからお互い様だ。礼なんていらない。藤野さんも苦手な化学、しかも授業にも受験にも関係ないような自由研究を夏休みになってまでやりたくないだろう?」
携帯をいじりながら藤野に顔を向けずに淡々と告げる。
藤野の威圧感も強力だけど、ユッキーの有無を言わせない論理攻めも相当なものだ。
「でも・・・」
「何?」
心なしか雰囲気がピリピリしてるような・・。
「だったら私一人でやる!相田君の力は借りない。だからそっちの金髪君も一人でやって!」
「待てよ!俺関係ないだろ!一人じゃできねーよ!」
それより金髪君って俺?
「そうだな。男二人が共同で藤野さんだけ別だと俺の生徒会長としての心象が悪くなるもんな。ということで井上一人でがんばれ。」
「えーーー!やだ、ユッキー一緒にやろうよーーー!!」
俺の魂の叫びを聞いて、藤野の口元が緩んだ。
「相田生徒会長。2対1の多数決で3人でやることが決定しました。よろしくお願いしますね。」
しまった。藤野に乗せられた。
時すでに遅し。
藤野が勝ち誇った笑みを浮かべて明日の予定を宣言する。
「よし、じゃあ決定ッ!明日10時に白川駅前のマックに集合ね!来なきゃぶっ飛ばす!」
眉を吊り上げそう言い捨てると藤野はもうダッシュで校門へ走り去ってしまった。
「最後にずいぶん物騒なこと言ってたな」
ユッキーがあきれた声を出す。
「ゴメン、ユッキー。」
「いや、気にするな。あの状況のお前じゃ仕方ない。それに・・・藤野を一人にして朝顔の観察でもされたらそれこそ監督不行き届きだからな。一応この件は森山に任されてしまったし」
「明日行かなきゃダメかな?」
「そうだな、夏休みを病院で過ごしたくなかったらな。じゃあ俺自転車だから」
軽く手を挙げて別れの挨拶をすると自転車置き場に向かって行ってしまった。

こうして夏休み第一日目の予定が強引に決定された。
なんだか前途多難な予感。
ユッキーの後ろ姿を見送って彼女に電話をかける。
こんな時は心のオアシスに癒しを求めよう。
「もしもし、俺だけど・・・」
さて、まずは何から話そうか。
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僕の夏休み 2
2010-06-03 Thu 01:45
「遅くなってスイマセン」
抑揚の無い声で遅刻を詫びた人物は我が2年A組が誇る超優等生生徒会長、相田由貴也だった。
そして当然のように俺の隣に並んだ。
でもまぁこいつは別件で来たんだろう。
何事もなく、むしろ全校生徒の規範となるような学校生活を送っているこいつは夏休みを楽しむ側の人間だ。
「ユッキーどしたの?」
率直な疑問をぶつける。
「補習に決まっているだろう」
「は?ユッキーが化学のテストで一桁なわけがないでしょ」
「いや・・・ヒトケタというより0点だ」
涼しい顔をしてこいつは何を言っているのだろう。
一年の時から成績は学年トップでスポーツ万能、全校生徒の満場一致で先日生徒会長に選ばれたばかりの優等生。
帰国子女で語学も堪能、おまけに顔も良しで女子に大人気。
完璧すぎて正直ちょっと苦手なタイプ。
そんな奴が0点なんて馬鹿(俺)でも取れない点数を取るなんて。

俺は思い出していた。
出席番号順に並んだ席順。
全教科のテストを開始5分で諦めた俺の前の席で、まるで機械の様に淀みなくペンを走らせていたこいつの後ろ姿を。
「ユッキー、欠席してないよね」
「あぁ。ちなみに欠席が理由で0点にはならない。欠席は再試験だからな」
「じゃあ名前でも書き忘れたのか?」
「そんな理由で0点にしないわよ」
ユッキーのかわりに森山が答える。
「解答欄・・・書いてくれたわよねぇ。たくさん」
森山が含みのある視線でユッキーを捉える。
「あぁ、宮村せれなの『ラブ☆トゥインクルガール』の歌詞をな」
は?
「ラブ・・・・何だって!?」
「トゥインクルガールだ。二番のサビがどうしても思い出せなくてな。はじめから書きだしていたんだ。ようやく思い出した時にはチャイムが鳴っていた」
「鳴っていた。じゃねーよ!そんなのテストの後でいいだろ!」
「気になったらすぐに解決しないと気が済まない性格でな。直後の休み時間に携帯で検索したら思い出した歌詞が正解だったので俺は満足したよ。実に有意義な時間だった」
待て。何を言っているんだこいつは。
頭がクラクラしてきた。
「化学の試験問題より解きがいがあったぞ。ざっと問題を見た感じでわからないところは無かったが、それをヒトケタって・・・井上、お前大丈夫か?」
「お前に言われたくねーよ!!」
前言撤回。
今までこいつとは表面的な会話しかしたことが無かったから気がつかなかったけど、この超優等生はとてつもなく馬鹿だ。
「ということで相田君も仲間なのよ。他の教科はほぼ満点なのにねぇ。初の首位転落に他の先生方も驚いてたわ」
森山がため息をつく。
・・・ユッキーは馬鹿というより変人なのかもしれない。
「補習といっても明日から一週間だけだから。先生もバレー部の顧問だから夏休みは何かと忙しくってね。まぁ頑張りましょう」

その瞬間携帯の着信音が鳴り響いた。

「ごめんちょっとまってね」
慌てた様子で立ち上がったのは森山だった。
白衣のポケットから携帯を出すとそのまま職員室を出て行ってしまった。
しかしドアのすぐ外で通話をしているのだろう。会話が途切れ途切れに聞こえてくる。

「・・・・・うん、・・・・うん。・・・ホント?・・・もちろんだよ。嬉しい!」

電話の相手は男だろう。普段より1オクターブ声が高い。

「こっちはなんとか。・・・・ホントに大丈夫だから!!またこっちから電話するね!」

短い通話を終えて森山が戻ってくる。
どことなく足取りが浮かれている。
「・・・とゆうわけで、先生は明日から1週間オーストラリアに行ってきます。補習は無くなりました!」
「「「はい?」」」
あまりの唐突さに今まで置物の様に微動だにしなかった藤野でさえツッコミを入れた。
「あのね、行く予定はかなり前からあったんだけど、一緒に行く彼氏と大ゲンカしちゃって・・・・もうダメだと思ってたのね。でもね、今電話でやりなおそうって言ってくれたの!しかも彼ったら旅行もキャンセルしないでくれてたの!先生39歳なの!最後のチャンスなの!わかってくれるわよね?」
「「「さんじゅうく?」」」
またしてもハモッてしまった。
無理もない。目の前の女教師はどう見積もっても20代にしか見えない風貌なのだ。
「先生だって幸せになりたいー!」
感情を露わにする姿はもはや子供のようだった。
なんて自由奔放な教師なのだろう。
しかしこちらとしてはありがたい。貴重な夏休みの1週間が戻ってきたのだ。
「せんせーお土産ヨロシクねー!」
「どうぞお幸せに」
「道中気をつけてくださいね」
俺達は晴れやかな気持ちでドアに向かおうとした。
しかし世の中そんなに俺に甘くないみたいだ。
「待ちなさい。他の先生方の手前何もしないわけには・・・・このままだと留年しちゃうし・・・・・そうだ!!補習のかわりに各自で化学の自由研究ってことで!」
「化学の自由研究って難易度高くない?何すればいいの?」
課題を考えるところから時間がかかりそうだ。
それならまだ一定時間座っているだけで義務の果たせる補習のほうがマシだ。
「朝顔の観察でいいですか?」
藤野が真顔で尋ねる。彼女も同類だろう。
「そうねぇ・・・・相田君がいれば大丈夫でしょう?」
森山はユッキーの顔を期待を込めて見つめた。
「3人で頑張りなさい!はい、決定」
誰の返事も聞かずに崖っぷち女教師は満面の笑みで俺達を職員室から送り出した。

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僕の夏休み 1
2010-05-07 Fri 08:46
七月某日。
夏休みを前日に控えた解放感で清々しい気分なハズの放課後。
俺は憂鬱な気分で職員室へ続く廊下を歩いていた。
すれ違う女子生徒達の晴れやかな笑顔が眩しい。
明日から待ちに待った夏休み!!
先月付き合いだしたばかりの年下の彼女と甘酸っぱーい夏の思い出でも作っちゃおうかと思ってた・・・ハズなのに。

「失礼しまーす」
職員室に入ると一番奥の席の白衣姿の若い女教師が嬉しそうに手招きをした。
俺を呼び出した張本人、化学教師の森山だ。
「こっちよ」
俺は無言で会釈をして呼ばれるままに森山の机の横に立った。
森山が机の上に広げたファイルに目を通す。
「2年A組井上陸生。・・・6点ねぇ」
「・・・はい。スイマセン」
条件反射で謝ってしまう自分が情けない。
そう、憂鬱の原因はこれだ。
俺は化学の前期中間テストで100点満点中6点という恐ろしく程度の低い点数を叩きだしたのだ。
そのため「夏期特別補習」という何とも情けない夏休みの予定が発生してしまった。
心当たりのある赤点仲間の奴らが呼び出されていないところをみると、赤点の中でもボーダーラインがあるのだろう。
夏休み明けの期末テストで取り返しのつかないレベルの点数の奴が呼ばれるらしい。
小さいころから勉強という勉強が苦手で、いつもギリギリのところでクリアしてきた。
しかし今回はタイミングが悪かった。
こともあろうに試験前日に冒頭に説明した年下の彼女、1年生の女子に告白されたのだ。
それもかなり可愛い。もちろん二つ返事で俺OK。
浮かれて勉強なんか手に付かない状態で試験に臨んだ。
その結果の惨敗。
俺に後悔は無い。
「なにか言い訳でもあるの?」
森山が上目づかいで微笑む。
白衣に眼鏡が少し色っぽい。
男子生徒にひそかに人気があるのも頷ける。
なんてくだらないことを考えてたら小さなノックと共に職員室のドアの開く音がした。
次の補習仲間がやってきたのだ。

「失礼します」
声の主を見て俺は思わず姿勢を正した。
こちらに向かってくるのは隣のクラスの問題児。
入学直後に3年の不良グループを一人で潰した喧嘩の達人。
噂では暴走族の総長だとかヤクザの娘だとか言われてる我が高校の超有名人、藤野光子だった。
やっぱり不良=勉強ができないの図式は成り立つものなんだな、と妙に納得してしまった。
藤野はちらりと俺を見ると静かに横に並んだ。
長い黒髪に攻撃的な漆黒の瞳。
何とも言えぬ威圧感。
これが不良のオーラってやつか。
横目で見ると肘に大きな絆創膏を貼っている。
どこかで一暴れしたのだろうか?
「2年B組、藤野光子さん。9点ね」
森山が藤野の点数を確認する。
あれ?俺の時は敬称なかったよね。
これが不良の成せる業か。
「はい。補習、よろしくお願いします」
そう言うと藤野は深々と礼をした。
カタギには礼儀正しいのか。
一流の不良は筋が通っていらっしゃる。
「藤野さん、俺A組の井上でーす。よろしくね」
思い切って挨拶してみる。
さらに俺的第一印象ナンバーワンの笑顔のオマケつき。
こういうのは最初が肝心だ。
「・・・・あぁ」
藤野はちょっと驚いたような表情をして小さく返事をした。

「先生、補習の生徒は何人いるんですか?」
俺は率直な質問をしてみた。
こういう仲間は多いに越したことはない。空しい気分も少しはまぎれるってものだ。
「あと一人よ。10点未満の生徒しか集めてないから。今回は簡単なハズだったんだけどね。3人もいることに先生びっくりよー」
そうですか。厳選された馬鹿3人ってやつですか。
驚くほどのバカでスイマセンね。
俺が開き直ろうとしたその瞬間、勢いよく入口のドアが開いた。
「遅れてスイマセン」
良く通る聞き覚えのある声がした。
振り返って俺は目を疑った。
そこに現れたのは最も補習という言葉から程遠い人物だったからだ。


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