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僕の夏休み 3
2010-07-11 Sun 18:34
靴を履き替え校舎の外にでると容赦なく夏の太陽が照りつけた。
変人優等生と不良娘は職員室を出てからここまで終始無言のままだ。
どちらかといえば面識のあるユッキーに何度かアイコンタクトを試みたがことごとく失敗した。
人見知りでもしているのだろうか。
『ユッキー』なんて親しげに呼んではいるものの実際必要以上に会話したことないもんなぁ。俺達。
成績は常にワースト3でいかに楽をしようかと常に思案している俺と、真面目で頼れる生徒会長は別の次元の人間だと思っていたもんな。
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、自然と友人の種類も違ってくる。
でも教室内のユッキーはもっと社交的だったはずなんだけど・・。
俺だって内心異色の取り合わせに戸惑ってはいる。
ユッキーと藤野と仲良く自由研究なんてしている光景は想像し難い。
でも何もしないでここで解散するわけにはいかないのだ。
アレ?俺ってけっこうマジメ?
「自由研究どーしよっか?」
歩きながら勤めて明るく二人に言葉を投げかける。
「そのことだが・・・」
ユッキーがボソッとつぶやき、俺と藤野を交互に見る。
「俺がやっておくから二人はレポートを写せばいい。もちろん3人でやったことにする」
なんということだ。あっさり解決。神様降臨!
「マジで?いいの?さっすがユッキー!!頼りになるよ!」
俺と藤野が頼りにならないと切り捨てられた感も否めないが、そこは心にしまってお言葉に甘えることにした。
意思の疎通すらできそうもない3人で一丸となって自由研究をするのはかなり難しそうだったからだ。
コミュニケーションをとるだけでひと夏が終わってしまう。
もしかしたらユッキーも同じ考えなのかもしれない。
あえて苦労を買って出るとはさすが生徒会長だ。
秀才生徒会長には自由研究なんて大した苦労ではないのかもしれないけど。
「じゃあユッキー任せたよ!お礼はするからさ」
「気にするな」
「じゃあとりあえずメアドと携帯番号交換しよう」
「そうだな」
赤外線通信でお互いのデータを交換する。
ユッキーの携帯にはアニメのマスコットのストラップが親の敵のように大量についていたがあえて無視した。
「はい、藤野さんも」
「・・・・・だめだ。」
まさかの御断り。
「え?でもレポート写す日連絡しないといけないし」
「だめ!」
おいおいおいおい。もしかして何か嫌われてる?
それか束縛の激しいイカツイ彼氏がいるとか・・他の男のアドレスを見たら携帯を真っ二つにするような嫉妬深い彼氏が。
藤野ならありそうだな。
「携帯がダメなら家の電話とか・・・よし!住所でいい。手紙で知らせよう。そして読んだらバレないうちに即刻燃やしてくれ。」
「?・・・そうじゃなくって・・・・・3人でやらなきゃだめだ!!」
「あぁ・・・」
俺は意外な意見と大声量に面食らって間の抜けた返事しかできなかった。
藤野の一喝で緩んだ夏の空気が引き締まったような気がした。
以下藤野の演説。
「同級生が先輩になって下級生に囲まれて、留年して肩身の狭い思いをする一年間の苦しみを相田君に助けてもらうんだよ?私はとてもじゃないけどその分のお礼なんてできない!一生かかっても返せないよ!それに先生は3人で頑張りなさいと言った!それに・・・嘘や不正は大っきらいだ!!!」
真っ当で実直な藤野の意見に圧されて俺は口ごもってしまった。
コンマ2秒で丸投げした自分が恥ずかしい。
「別に気にすることはないぞ。生徒会長として我が校の生徒が平穏な学校生活を送る手助けをするのは当然だ。夏休み中も是然り。それに夏休みは俺は忙しい。3人で予定を合わせてのんびり勉強会をしている暇はない。これは俺のわがままだからお互い様だ。礼なんていらない。藤野さんも苦手な化学、しかも授業にも受験にも関係ないような自由研究を夏休みになってまでやりたくないだろう?」
携帯をいじりながら藤野に顔を向けずに淡々と告げる。
藤野の威圧感も強力だけど、ユッキーの有無を言わせない論理攻めも相当なものだ。
「でも・・・」
「何?」
心なしか雰囲気がピリピリしてるような・・。
「だったら私一人でやる!相田君の力は借りない。だからそっちの金髪君も一人でやって!」
「待てよ!俺関係ないだろ!一人じゃできねーよ!」
それより金髪君って俺?
「そうだな。男二人が共同で藤野さんだけ別だと俺の生徒会長としての心象が悪くなるもんな。ということで井上一人でがんばれ。」
「えーーー!やだ、ユッキー一緒にやろうよーーー!!」
俺の魂の叫びを聞いて、藤野の口元が緩んだ。
「相田生徒会長。2対1の多数決で3人でやることが決定しました。よろしくお願いしますね。」
しまった。藤野に乗せられた。
時すでに遅し。
藤野が勝ち誇った笑みを浮かべて明日の予定を宣言する。
「よし、じゃあ決定ッ!明日10時に白川駅前のマックに集合ね!来なきゃぶっ飛ばす!」
眉を吊り上げそう言い捨てると藤野はもうダッシュで校門へ走り去ってしまった。
「最後にずいぶん物騒なこと言ってたな」
ユッキーがあきれた声を出す。
「ゴメン、ユッキー。」
「いや、気にするな。あの状況のお前じゃ仕方ない。それに・・・藤野を一人にして朝顔の観察でもされたらそれこそ監督不行き届きだからな。一応この件は森山に任されてしまったし」
「明日行かなきゃダメかな?」
「そうだな、夏休みを病院で過ごしたくなかったらな。じゃあ俺自転車だから」
軽く手を挙げて別れの挨拶をすると自転車置き場に向かって行ってしまった。

こうして夏休み第一日目の予定が強引に決定された。
なんだか前途多難な予感。
ユッキーの後ろ姿を見送って彼女に電話をかける。
こんな時は心のオアシスに癒しを求めよう。
「もしもし、俺だけど・・・」
さて、まずは何から話そうか。
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